富士日記

本当でしたら１５−１６日と　伊吹山で一緒だったメンバーと富士登山に行く予定でしたが、記録的大雨の悪天候に　涙を呑んで断念しました。

それで、という訳ではありませんが、今日は　私の大好きな本　「富士日記」を紹介します。これは、作家の武田泰淳氏の奥さんである武田百合子さんが記録した、山梨県の　富士のふもとの町（おそらく河口湖町）に建てた別荘での　昭和３９年から５１年までの日記です。毎日の食事（シンプルだけれど美味しそ！）買い物での商品の値段、現地の人達との会話など、ここに書かれているのは　単に富士の自然を賛美したものでなく、日常そのものです。私が生まれ育った頃の生活の描写が　なんともレトロで、懐かしいことばかり。心がシナッとしてしまいそうです。山梨の片田舎にも高度成長の波がおしよせて行く様子も描かれ、なんともリアルです。

驚くべくは、百合子さんの表現力です。ここでは上手く説明できませんが、普通の女性が　普通の事を書いているだけなのに、なんとも面白く、他の人には書けない引き込まれる文章です。この日記は　出版を目的に書いたわけではなく、あくまでもプライベートな日記です。そして、百合子さんの夫は作家ですが、百合子さんは　本当に主婦業一筋の女性なのです。

それなのに、こんな文がかけるといのは、無意識ながらも泰淳氏の影響でしょうか。やはり夫婦は影響しあうのだと思います。特に百合子さんは子供のように無邪気で我侭な泰淳氏の要求を　涼しい顔をしてこなしています。言葉はクールでも、日記の端々に　どれだけ泰淳氏を大切に思っているかがあふれています。

この日記を読むと　百合子さんの人間的魅力で　ファンになってしまいます。私も　少しでも主人に良い影響を与えられる奥さんでいたい、と思います。

富士日記
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