ひとたびはポプラに臥す

nozomi612005-09-28

患者さんが、宮本輝の「ひとたびはポプラに臥す」という本を2巻、貸してくださり、読み終えました。(この本は、全6巻なのですが、私がお借りしたのはそのうちの2巻です。)

ひとたびはポプラに臥す(1) (講談社文庫)

ひとたびはポプラに臥す(1) (講談社文庫)

役1700年前、シルクロードの小国に生まれ、少年の頃抱いた仏教伝播の使命に生涯をかけた名僧、クマラジュウ歩いた道を、著者の宮本輝氏がスタッフとともに旅をした旅行記です。シルクロードを歩く、というととてもロマンチックなイメージがありましたが、現実の旅は、過酷そのもの。想像を絶するほど暑くて、寝泊りする宿は不潔そのもの。何を食べても下痢の繰り返し。そこに住む人々は、拝金主義で、何をするにもお金を請求します。

20年来の夢を実現させたというのに、宮本氏は、現実に愕然とします。ですから、旅行記の記述もクマラジュウに関することよりも、中国の現実に対する、宮本氏の考えが多く記述されています。けれど、後戻りは出来ません。クマラジュウの足跡を追いながら旅は続きます。

私自身、この本を読んで、シルクロードのロマンにワクワクするどころか、「こんな旅は私にはとても我慢できない!」と思いました。それにしても、暑くて砂嵐にも見舞われ、大変不衛生なこんな悪環境の地を去らず、貧しさのなか、必死に生きている人々がいるのですね。そういうことに、いつも私は「何故だろう?」と思います。それが生まれ育った地だから?あまりにも貧しく、他の地で生活する資金がないため?私の育った愛知県は、冬も雪は降らず、教育機関もたくさんあり、卒業後は、学生を受け入れる企業も充分あります。病気になっても受診する医療機関も整っています。そんな贅沢な場所に住んでいると、厳しい環境で暮らしている人々を見て感動さえします。

これからこの旅はどうなるのでしょう?3巻以降が貸していただけたら、またここで書きたいと思います。

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