トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

nozomi612016-09-01

すこし長いタイトルの本。2009年に起きたトムラウシ山で12人のツアー登山者のうち8人が亡くなった遭難に関して 専門家たちが分析している。

気象や運動生理学の解説なども勉強になったが それ以上に ツアー登山の危うさが良くわかった。この遭難は 登山初日に宿泊した小屋で 翌日暴風雨だったにもかかわらず 「天気が良くなることを期待して」出発したのが ガイドのまず最初の判断の誤りだったようだ。この時点で引き返せば 命に係わる遭難にはならなかっただろう。

しかし ツアー会社から見れば 登山が途中で終わってしまうことは 帰りの飛行機の便などの手配が難しくなることや 高いお金を払ったのに目的の山に登れなかった登山者の不評を買うこともあり、予定を変更することは難しいということを知った。よく、ブログなどをみていると カッパを着て北アルプスの岩稜を登っている写真を見るが なぜこんな時に登るのだろう?と思っていた疑問が この本を読んで解けた。私はほとんど夫と二人で山へ行くので 天気予報を見て予定の日にちに少しでも悪天候があるようなら 山へ行くのはやめている。また、稜線に出たとたんに 強風や 10月の吹雪などに遭ったときは 自分たちの技術を考えて あとほんの少しで山頂というところでも 撤退したこともある。「ちょっと無理すれば行けたのかも」と思ったこともあるが、安全のためには あれで良かったのだろう、とこの本を読んで思った。

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